大判例

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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和29年(う)118号 判決

本件の起訴状によると、本件は被告人の単独犯としての起訴であり、これに対し原審は訴因変更の手続を経ないで被告人と小幡邦雄の共同正犯と認定し処断していることは本件記録及び判文上明かであつて、所論のとおりである。しかし単独犯の起訴を共同正犯と認定する場合、それによつて被告人の防禦権の行使につき実質上の不利益となるおそれがないかぎり訴因変更の手続を経ることを要しないものと解すべきところ、原審第一回公判調書によると被告人は被告事件に対する陳述として「事実はそのとおり間違いありませんがその時私は友達に共犯を勧められ、同人の指示によつて一緒に入つたのであります」と陳述し、弁護人もまた右のとおり陳述し、また原審第三回公判調書によると弁護人は被告人と小幡邦雄の共同正犯という前提の下に意見の陳述をなしていることが認められ、その他本件記録によると、被告人の単独犯としての起訴を訴因変更の手続をとらないで、被告人と小幡邦雄との共同正犯と認定するにつき被告人の防禦権の行使につき実質的の不利益を与えるおそれがないものと認められるので原判決には、所論のような訴訟手続に法令の違反はないものというべく論旨は理由がない。

(裁判長判事 成智寿朗 判事 沢田哲夫 判事 山口正章)

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